賃貸活用と売却、何が根本的に違うのか
売却は「所有権を手放して、まとまった現金を一度に受け取る」方法です。これに対して賃貸活用は「所有権は残したまま、毎月の家賃収入を得る」方法です。将来、子や孫が使う可能性がある、地価の値上がりを待ちたい、といった事情がある場合は賃貸の方が選択肢を残せます。
一方で、所有し続ける限り固定資産税・都市計画税は毎年かかり続けますし、空室期間は収入がないまま維持費だけが発生します。「資産を残す」ことと「維持コストを負い続ける」ことは表裏一体だと理解しておく必要があります。
賃貸に向いている物件・向いていない物件
| 向いている | 向いていない |
|---|---|
| 駅・バス停から近い、生活利便施設が近い | 公共交通の便が悪く車必須の立地で、駐車場も確保しづらい |
| 築浅、または大きな修繕をしていなくても住める状態 | 大規模な耐震・水回り改修が必要な老朽度 |
| 周辺に賃貸需要(単身・ファミリー層の転入)がある | 人口減少が続く地域で、周辺の空き家率も高い |
| 権利関係が単独名義など明確 | 共有名義で相続人全員の合意形成に時間がかかる |
特に「そもそも周辺に賃貸需要があるか」は見落とされがちです。近隣の賃貸物件の空室状況・家賃相場は、地元の不動産会社に相談すれば無料で確認できることが多いので、リフォームに投資する前に必ず確認しましょう。
普通借家契約と定期借家契約、実家を貸すならどちらか
賃貸借契約には大きく分けて2種類あり、どちらを選ぶかで将来の自由度が大きく変わります。
| 契約形態 | 特徴 | 実家向きか |
|---|---|---|
| 普通借家契約 | 借主の権利が強く保護され、貸主側から正当事由がないと更新拒絶・解約できない | 長期的に貸し続ける前提でないと後で困りやすい |
| 定期借家契約 | 契約期間の満了で確実に契約が終了する(再契約は双方合意の上で可能) | 将来売却・自己使用・解体の可能性があるなら基本的にこちら |
普通借家契約を結んだ後は、借主に自主的に退去してもらう以外に、正当事由(貸主自身が住む必要がある等、かなり限定的な理由)が無ければ契約を終わらせられません。将来売却や解体の可能性が少しでもあるなら、契約時に定期借家契約を選び、不動産会社・管理会社にもその旨を明確に伝えておくことをおすすめします。
賃貸に出すまでの初期費用の目安
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| クリーニング・簡易補修 | 数万円〜10万円程度(現状貸しの場合の最低限) |
| 水回りリフォーム(キッチン・浴室・トイレ) | 数十万円〜(設備の状態・グレードにより大きく変動) |
| 残置物の処分・遺品整理 | 数万円〜数十万円(部屋数・量による) |
| 不動産会社への仲介手数料(入居時) | 家賃の0.5〜1ヶ月分が目安(貸主負担分) |
初期費用をかけるかどうかは「その投資が家賃収入で何年で回収できるか」で判断するのが基本です。たとえば水回りに50万円かけて家賃が月5,000円上がるなら、投資回収には8年以上かかる計算になります。リフォーム前に、想定される家賃相場の上昇幅を地元の管理会社・不動産会社に確認しておくと判断しやすくなります。
管理を自分でやるか、管理会社に任せるか
入居者募集・家賃回収・クレーム対応・退去時の精算などを、自分で行うか、管理会社(サブリース・管理委託)に任せるかも重要な判断です。遠方に住んでいる場合や、平日仕事があって対応が難しい場合は管理委託が現実的です。管理委託の費用相場は家賃の5%前後が一般的です。
賃貸に出さず「とりあえず人に貸さずに見守るだけ」でよい場合は、月1〜2回の巡回・簡易メンテナンスを行う空き家管理サービスという選択肢もあります。賃貸と管理サービスは似て非なるもので、収入を得るか、維持コストだけを最小化するかという違いがあります。
空き家バンク経由での賃貸マッチングという選択肢
不動産会社を通した通常の賃貸募集のほかに、空き家バンクに「賃貸物件」として登録し、移住希望者とマッチングする方法もあります。無料で掲載できる一方、成約までのスピードは不動産会社の方が早い傾向があります。両方を並行して使うことも可能です。
賃貸活用が向いている人・向いていない人
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 将来また使う可能性を残しておきたい | 今すぐまとまった現金が必要 |
| 毎月の収入を得ることに魅力を感じる | 空室・トラブル対応のストレスを避けたい |
| 遠方でも管理会社に任せられる予算がある | 維持費・管理委託費をかけたくない |
| 物件が賃貸需要のあるエリアにある | 周辺の賃貸需要が乏しい・過疎地域 |
賃貸に出す前に、管理会社への相談から
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